2001.7.29、30、31にマレーシア(ペナン島、ランカウイ島)において現在日本で植生の知られていなかったストロジンとクルクリゴの調査を実施しました。
調査結果は今後の研究に生かしていきたいと思っております。
調査結果
・ストロジン(Staurogyne merguenis Kuntze):キツネノマゴ科
今回の調査でストロジンの鮮明な写真を撮る事ができました。ストロジンは日本ではどこの植物園でも育てておらず、今までその植生は謎のままでした。また、ストロジンの写真も日本で一枚しかなく、不鮮明であったため調査することが大変でしたが、現地の方のご協力も頂き、植生の解明をすることができました。
ストロジンはマレー半島、ランカウイ島、ペナン島に自生しておりますが、滝のある岩肌といった人が極めて入りにくいところに生息しており、極めてデリケートな植物であることが確認されました。そのため、ペナン島やランカウイ島では開発のため、生息地が少なくなっているようです。
また、極めてデリケートで特殊な環境で育っている植物のため、日本で栽培するにはかなりの技術が必要と考えられます。また、紫色の花が咲くそうです。
現在、N大学H教授に組織培養を依頼しており、成功したら育種法の研究を開始する予定です。
今回の調査も、組織培養も最初からうまくいくとは思いませんが、成功させたいと思いますので皆様からも励ましのお声を頂戴できたらと思っております。
ストロジンはマレー語でlemba batuというそうです。
・クルクリゴ(Curculigo latiforia):キンバイザサ科
マレーシア、ランカウイ島、ペナン島ではごく普通に生えております。今まで、私が日本で育てていたときのデータでは年1回しか花が咲かなかったのですが、現地では常に花が咲き、結実を繰り返すということが分かりました。現地では自生するだけではなく、ゴム園の下草としても使われております。
・調査を実施しての感想
日本人では初めての調査を無事すませることができました。以上2種類の植物については、現地の年配の方しかご存知なく、若い人や観光関係の方はご存知ありませんでした。そのため、調査は難航しましたが、現地の年配の方のご協力と、同行してくれたガイドの対応の良さで、調査をすることができました。この場を借りてお礼申し上げます。
ランカウイ島での調査風景及び植物の写真
ランカウイ島での調査を開始
(マングローブ林の前で)
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ランカウイの海ですきれいですね。
(この海をボートで移動) |
ランカウイ島の海辺に広がるマングローブ林 |
ストロジンが生えている岩肌 |
マングローブ林(縦拡大) |
ストロジンが生えている岩肌(縦拡大) |
ストロジンの鮮明な写真(日本初) |
タバコのケースです。ストロジンの大きさが分かると思います。 |
ストロジンの葉っぱの拡大写真です。 |
小さ目のストロジン(3ヶ月程度) |
クルクリゴの自生風景 |
林の中で写真のように自生しております。 |
クルクリゴの花です。根元に咲きます。 |
クルクリゴの果実が松ボックリのようになっております。 |
ランカウイ島で調査にご協力していただいた尾島さんと一緒に。 |
ランカウイ島で調査にご協力していただいた今井さん(右)とムナディーさん(左) |
今回ランカウイ島での調査に御協力していただいた尾島さん、今井さん、ムナディーさんは現地でご活躍のガイドさんです。彼らの会社は下記のHPを参照ください。(リンクでも紹介しております。)
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