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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2024/5/6に実施した中京大学心理学部3・4年の皆さんのレポートです。




Aさん 

 私は幼い頃から味覚が敏感で好き嫌いが多かったため、今回の味覚に関する講義はとても興味が湧きました。高校の研究発表で調べた時の知識で味は舌の味蕾という部分で感じることは知っていましたが、有郭乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、糸状乳頭と4種類もあることや、味蕾が食道や軟口蓋にまであるということは知らなかったし衝撃的でした。よく嫌いな食べ物を食べる時に息を止めて舌に触れないようにと試みる人がいますが、軟口蓋や食堂にまで味蕾があるとなると簡単には防ぎようがないなと少し悲しくなります。
 また、味覚について少し調べたことがあるにも関わらず、味覚地図が間違っていることも知りませんでした。もう昔の話なのに多くの人が未だに信じているのではないかなと思います。舌先で触れた場合、甘み以外は知覚できないということになるのでよく考えれば分かることなのにと思いました。 また動物ごとの味蕾の数の話はとても面白かったです。講義に出てきた動物以外もついネットで調べてしまいました。猫や犬などのペットは人間よりも味蕾の数が少ないというのは特に驚きで、嗅覚が人より良いとどうしても味にも敏感そうなので、味蕾も多いのではないかと思ってしまいました。
 次に私自身、好き嫌いも多く偏食なので好き嫌いを治すための2つの条件というのが興味を持ちました。まずいものはまずいので慣れるか一生無理かだと考えていましたが、その2つの条件がどちらも自分の思考でどうにかなることだったので、苦手なものを克服できるかもと希望を感じました。たしかに克服できたものを思い返すと、いい雰囲気のお店で綺麗な盛りつけで出てきた苦手食材に挑戦して、その食材に対する見方が変わったことがありました。
 近年、過度なダイエットやそれに伴う拒食症などが見受けられますが、味覚修飾植物を用いた甘味料は甘いものを食べることに対する恐怖を和らげることに繋がると感じました。カロリーゼロの人工甘味料などとは違い、味覚修飾植物は味覚受容体に働いて味覚を変化させるため、甘いものを食べることが怖くなってしまった人でも精神的な負担が少ないのではと考えました。糖尿病の治療だけでなく、食と心は繋がりやすいため味覚修飾植物はそういったケースにも役立って言ってくれるのではないかと感じました。
 今回の講義を通じて、味覚について知ることは自分を知ることに繋がると感じました。自分に欠けている栄養素に気づいたり、嫌いな食べ物が味より環境などの思い込みから来ていることに気づいたりと自分の見えない部分が味覚から見える気がします。犬や猫は人間よりも味蕾の数が少ないと知ってネットで調べていたら、動物によって感じやすい味覚も違うと知りとても驚きました。犬は塩味を感じやすく、猫は苦味を感じやすいようです。また猫は甘味を感じないことは無いことは驚きでした。どうしても自分たち人間の味覚基準に考えてしまいがちなので、ペットフード以外を与える時は気をつけてあげないとと感じました。

【参考URL】https://www.royalcanin.co.jp/dictionary/column/20150529



Bさん 

 初めて体験型の講義に参加しましたが、90分という時間が非常に短く感じられたことに驚きました。講義内容も新しい情報ばかりで、興味が尽きないほどの内容でした。一番印象に残ったことは、ギムネマやミラクルフルーツがどのように味覚を変化させるかというプロセスについての説明でした。ギムネマに関しては、甘味を感じる味蕾がギムネマの成分によって機能を抑えられ、甘味の感知が遮断されるということを学びました。このような新しい知識は、今後の食生活や食品選択に役立つのではないかと感じました。 味覚についてのリサーチをしていて興味を持った内容としては、過去の経験と味覚の関連性についての研究が挙げられます。コンフォートフードの概念や、特定の食材がどのようにして感情や思い出に影響を与えるかについての研究はとても興味深いと感じました。この研究が示すように、食べ物選びが感情のコントロールや心の健康に影響を与える可能性があるという視点は、食生活をより意識的に考えるきっかけになりました。 また,味覚は健康とも密接に関連していると思いました。例えば、苦味は一部の有害な物質を警告する自然のシグナルであり、甘味はエネルギー源である糖分を示しています。これらの味覚の理解は、健康的な食事選択をするための重要な情報を提供し,結果として全体的な健康の向上に貢献する可能性があると感じました。
 味覚修飾植物の今後の展開についても,いろいろな可能性が広がっているのではないかと感じました。例えば,これらの植物を活用した商品が広く普及すれば、新しい食文化が生まれ、飲食業界の発展にもつながると思いました。さらに,味覚について理解を深めることで、日常の食事をより注意深く選択するようになり、料理の幅も広げることができると思いました。特に料理をする人々にとっては、新たな味覚の探求がクリエイティブ思考を刺激する良い機会になると感じました。
 最後に,味覚の研究は、私たちが食事を通じて世界をどのように経験するかを理解するための重要な手段であることを学びました。また,食事は単に栄養を摂取する行為だけでなく、感情、記憶、文化と深く結びつき,特定の食べ物や料理は、家族の集まりや祝日、特別な出来事を思い出させ、幸せや安心感を与えてくれることを学びました。これらのことから、食事が単なる生存の手段ではなく、人間の経験と深く結びついていることを再認識することができて良かったと思っています。

【引用文献】
山崎英恵. (2023). 心地よい食を探る試み―コンフォートフードとしての日本食―.日本食生活学会誌,34(3), 127-134.



Cさん 

 今回の講義から、特に興味を惹かれた点は2つあった。1つは味蕾が人間や動物に備わっており、かつ大人より赤ちゃんの方が、肉食動物より草食動物の方が味蕾の数が多いという点である。私は赤ちゃんが離乳食を嫌がるのはなぜだろうとずっと疑問だった。それは、赤ちゃんの味蕾の数が多く、様々な味を感じ取っているためだと分かった。大人になるにつれて嫌いなものが減っていくのは、味蕾の数が減少しているからだと理解できた。そして、草食動物はどうやって毒の有無を区別しているか不思議だったが、舌にある味雷で判断しているのだと分かった。また、講義中に「肉食動物は最初から食べられると判断した獲物しか狙わない」という先生の説明を聞き、肉食動物には草食動物ほどの味雷が必要ないということも学習できた。 
  もう1つは味蕾での味の感じ方は鍵と鍵穴の関係のような仕組みであることについてだ。私は、食べると甘く感じるのは舌の先端であると思っていたが、それは間違いであることを知り大変驚いた。振り返ってみると、ギムネマを舌にこすりつけて砂糖やチョコレートを食べたが、こすり足りなかったせいで、舌の奥の方は少し甘さが感じられた。これを考えると、味雷は舌全体にあり、鍵と鍵穴がぴったり重なった時、味覚として感じられるのだと分かった。また、鍵と鍵穴の関係であると説明されると大変わかりやすく、確かに小学生にも理解してもらえやすいなと感じた。 
  味覚について知ることは母国の食文化を大切にするきっかけになると感じた。私は何気なく日本食を食べてきたが、計算された味や栄養バランスを考えて作られていることに、この講義を通して気づくことができた。また、味を感じられることは当然のことではないため、食事にありがたさを感じるきっかけにもなると思った。そして、味覚について知ることは情報を取捨選択する力の習得に役立つと考えた。例えば健康促進を掲げていたら、その効果を信じてしまうが、それが正しいかどうかは分からない。したがって、私たちは情報に踊らされず、疑いの目を持つために味覚を学習し、脳が誤認識する可能性があることを知る必要がある。 
  味覚修飾植物が日本の冬に耐えられるような栽培の工夫がなされれば、虫歯を予防できる可能性が高まるのではないかと考えた。虫歯は糖を栄養にして増加する。すなわち、甘いものを食べすぎると虫歯のなりやすさが高まる。よって、味覚修飾植物を用いることは、糖の過剰摂取を予防するために効果的だと考えた。ギムネマが虫歯予防に効果的かどうかを調査した研究がある(三好・井元・笠木, 1987)。結果は、虫歯の原因となるストレプトコッカス・ムタンスのグルカン形成の抑制や思考の形成抑制効果を示す抗う蝕性効果があった。やはり私が想像する通り、虫歯予防に対するギムネマの効用があった。しかし、この研究では味覚修飾植物のうちのギムネマのみが実験対象であった。ギムネマと同様の効果があるなつめやケンポナシにも虫歯予防が期待されるかは今後の検討課題である。 
 今回の講義の内容は初めて知ることばかりだった。ミラクルフルーツを食べることで、レモンが甘く感じられることは衝撃的であった。酸味が苦手な私でもレモンをおいしく食べられ、おかわりしてしまうほどだった。ギムネマの実験では、普段私たちは大変甘いものを食べているのだという実感が湧いた。苦味だけのチョコレートは食べにくく、製造者が研究を重ねて食べやすいものを作ってくれているのだと分かり、食べ物を大切にしようと思えた。また、舌にしか味を感じられる機能はないと思っていたため、喉でも味を感じられることに驚いた。そして、喉の奥で炭酸を感じることがあるという先生の説明を聞いて、喉に味蕾があると大変納得できた。舌だけではなく喉でも味覚がはたらき、私たちに様々な味を教えてくれているのだと感じた。小さいころの私は緑色で見た目がいびつなピーマンが嫌いだったが、おいしいと自分に暗示をかけるとなぜかおいしく感じることができた。この経験は、成長を通して味蕾が減少することや好き嫌いのメカニズムによるものだと分かった。今回、味覚について知ったことで、経験の理由付けができるようになった。また1つ知識が増えて嬉しかった。味覚は奥が深く、さらに自分で調べて新しい知識を得たいと感じた。

【参考文献】
三好美智夫・井元敏明・笠木健 (1987). ギムネマ葉から抽出された各種成分の抗う蝕性効果. 米子医学雑誌, 38, 127-137.



Dさん 

 私は,今回の講義を受けるまでギムネマやミラクルフルーツの存在を知りませんでした。ギムネマの実験の際,色や形など見た目は普通の葉っぱのため,味が変わるのかと疑問に思っていましたが,砂糖は砂のようで,ミルクチョコレートはビターチョコレートのように苦くなっていて味の変化に驚きました。同様にミラクルフルーツの実験でもレモンが甘く感じられ,試しに持参していたレモンティーはどうかと飲んでみたら甘く感じました。 
 私たちには味蕾が舌や喉にあり,甘味用,酸味用と味それぞれの味蕾が存在し,味と味蕾は鍵と鍵穴関係であることからその鍵穴が埋まるとスイッチが入り電気信号として脳に伝えられ味を判別していることを学びました。また,味蕾は人間だけでなく他の動物にもあり数が異なること,ハエの味蕾は手にあるなど舌だけではないことが分かりました。人間の味蕾は約6000~9000個で,赤ちゃんのときが一番多く約12000個であると学び,赤ちゃんが味に敏感なことや小さい子の好き嫌いが多いことは味蕾の数が関係しているからだと繋がりました。また,大人が甘いと感じる食べ物は子どもにとってより甘いと感じるのではないかと考え,ジュースや砂糖がたくさん使われているお菓子を与えすぎるのが良くないのは虫歯予防だけでなく,甘いものを好むようになってしまうからではないかと感じました。 
 本講義の中で,ライオンは実は獲物を食べる順番があり,始めに植物が消化されエッセンスとなった小腸,次にビタミン,ミネラルを摂取するために肝臓や膵臓などを食べ最後お肉で終えることを初めて知り,まるで人間のように食事をしていること,どこにどの栄養があるかの知識があるんだと驚きました。また,幼児が人形やゲームソフトなどを口にしないようあえて苦み成分を商品に塗って防止していることを知り,幼児はなんでも口にしたがるため味覚からその危険性を対策することへ発展していて味覚が与える影響について考えさせられました。 
 これまで視覚や聴覚が無くなった世界を疑似体験したことはありますが,今回初めて味覚が無くなることを体験し,味を感じることの素晴らしさ,食事をすることの楽しさを改めて感じることができたのと同時に,味覚障害の辛さや怖さについて考えることができました。現代では,韓国アイドルや推しの存在により痩せたい,細くなりたいとダイエットする若者が多いですが,食生活を制限するのはとても難しいと考えます。味覚修飾植物により甘いものを食べているけれど低カロリーとなれば我慢することのストレスも減るため,糖尿病の患者や味覚障害をもつ人だけでなく,ダイエットに悩む現代の若者にも効果があるのではないかと感じました。また,今後多くの人に味覚についての知識が広まることで味を感じることの有難さや食生活について考える機会が増えれば良いなと感じました。さらに,これまでよりも歯を大切にして虫歯予防をしっかり行い,将来入れ歯により味蕾を防いでしまうことがないように心掛けたいです。



Eさん 

 私たちが味を感じるのは,ものが唾液と混じりあい水溶液になることでその物質が乳頭に取り込まれ,味蕾によって判別するからであることが分かった。普段何気なくものを食べて甘さや苦さを感じていたが,その味を感じる仕組みについて深く考えたことがなかったため,非常に勉強になった。味覚について,子供のうちはコーヒーが飲めなくても,大人になると飲めるようになるのは,味覚を感じる細胞が減っているからだと耳にしたことがある。今回の講義で,実際に味覚を感じる味蕾が赤ちゃんの時と比べて減っていることが示されていたが,味覚の変化はそれだけが要因でないことが分かった。大人になると今までの経験と学習によって,ただ苦いだけでなくそこに香りや食感などからおいしいものであると認識して,苦いものが食べられるようになる。脳へ苦みとしてのシグナルが送られているが,その味への感じ方が変化するというのは非常に興味深い事象だと感じた。 
 また,味覚嫌悪学習という現象があるが,仮に牡蠣にあたってお腹を壊したとしても,牡蠣を食べなくなるとは限らず,何度も食べてしまう人がいる。未だ,味覚嫌悪学習で獲得したものが消去されるメカニズムは明らかにされていないが,それは,牡蠣に当たったという事実よりも牡蠣がおいしいという経験に基づく情報があるからそういったことが起きるのではないかと考えた。もし,初めて食べたもので嘔吐した場合,もう二度と食べなくなると思うため,ものの第一印象により学習が一度で成立するというのは非常に強力なものであると思った。 
 味覚修飾植物は,味そのものにアプローチするのではなく,味覚を受容する器官に対して作用するため汎用性が高く,より多くの人に対して効力を発揮することが非常に画期的だと感じた。味を感じるということに視覚情報は非常に重要である。そのため,今までの経験から甘いとわかっている饅頭などを作るときに,砂糖の量を減らして,代わりに酸味のあるものに代替し,ミラクルフルーツを使って酸味を甘味に変換することで糖分の摂取を抑え,甘いものを摂取したときと同等の満足感が得られる効果があると考えた。おいしさを感じることは食事をするうえで最も大事なことであり,自分が生きるために必要な栄養素等を難なく摂取できるようになれば,国の全体的な健康度が上がることにつながるだろう。現在,若者の偏食が問題になっているが,苦手を克服するための橋がけとして味覚修飾植物を使用した外的な作用によって味覚を変化させ,食べられるという経験を積んでもらうことが可能になると考える。栄養素が多くても酸味や苦みが強くて食べられないようなものも多いので,味蕾に作用して味を変えられる技術が身近になることが,世界的な栄養不足や食糧不足の問題の解決に役立つと感じた。


【参考文献】
成川真隆・三坂巧 (2020). 味覚サイエンス〜加齢と味覚の関係〜, 日本老年医学会雑誌, 57, 1, 1-8.
大阪大学研究専用ポータルサイト リソウhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200430_2



Fさん 

 今まで試食付きの講義を体験したことがなかったので,新鮮だった。実際にギムネマとミラクルフルーツを試食することで,自分の舌で味の変化を感じることができ,変化に対する驚きと味覚の面白さに気づくことができた。また動物によって味蕾の数と存在する場所に違いがあるということを学び,各々の環境に合わせて味蕾が形成されているとわかった。その中でも特に,赤ちゃんの味蕾の数に興味をもった。赤ちゃんには味蕾が1万2千個あり,成人よりも多いことを知り驚いた。以前,赤ちゃんは母乳の味の違いがわかると耳にしたことがあった。また母親が辛い物を食べると母乳の飲みが悪くなるため,辛い物は控えたほうがいいとも聞いたことがある。これらは赤ちゃんに味蕾が多くあるからだと推測できるが,なぜ生まれてすぐの乳児が味を見抜くことができるのか,なぜ母親が辛い物を食べると母乳の飲みが悪くなるのかについて疑問を持った。 
 鳥居 (2000) の研究によると,ヒト胎児では味蕾が形成される胎齢3か月以降,母親の食事によって生じる羊水中の各アミノ酸やグルコースの組成の変化を,味として敏感に認知していると思われていることが示されている。つまり赤ちゃんが母乳の味の違いがわかる理由は,お腹の中にいる時点で味蕾が形成され,味を認知しているからであると知った。さらに味蕾の働きによって乳児は味の違いがわかるため,自分の母以外の母乳は口にしない,または飲みが悪くなるのではないかと考えられる。 
 さらに鳥居 (2000) の研究では,母親の摂取した食物によって母乳の風味が変わり,母親の嗜好性を反映して乳児の母乳接種行動が変化することがヒトでも報告されている。つまり,辛い物を食べると母乳の飲みが悪くなるというのは,母親の摂取した辛い物が乳児の味蕾に伝わるといえる。そのため辛い物を控えたほうがいいといわれているのだと納得できた。以上のようなことを論文から学び,乳児の味蕾についての理解が深まり,さらに知りたいと関心を高めることができた。ギムネマやミラクルフルーツなどの味覚修飾植物を食べることによって,味覚障害を疑似体験することができ,味覚の重要性を知ることができた。また,味覚障害について知識があまりなかったが,講義を機に知るきっかけにもなった。近年では,高齢化が進む中で,高齢者の特発性の味覚障害が増加しており,高齢者の味覚は生活の質を左右させるため,死亡率とも強い相関があると示されている (愛場 2011)。このことから味覚が生きていくうえで重要な感覚であり,高齢者などにおける生活習慣病の予防や治療に味覚修飾植物を使用することで,栄養不足や生活の質による死亡率を下げることが可能になるのではないかと考えた。 
 今回の講義を受け,味覚について知ることによって,「食」に興味をもつきっかけになり,自分の食生活を見直す良い機会にもなったと感じた。さらに味覚があることで,食物を美味しく食べることができているが,それだけではなく,腐っているものや体に危険なものに気づけるという役割も担っているため,非常に重要な機能だとしることができた。講義を通して味覚について楽しく知ることができ,非常にいい時間だったと感じた。

【参考文献】
愛場庸雅. (2011). 味覚障害患者の動向. 口腔・咽頭科. 24, 135-140.
鳥居邦夫. (2000). 味覚と嗜好性 栄養バランスと生体恒常性の担い手. 栄養学雑誌, 58(2), 49-58.



Gさん 

 幼い頃に舌の先端で甘みを感じることを教えてもらい,いちごをなるべく舌の先端に押しつけて食べていたことを味覚地図の話しから思い出した。本講義で試食したギムネマは舌全体に行き渡っておらず,舌の奥の方に甘みを感じた。実際に食べて確かめることにより,舌の奥に苦みを感じるという味覚地図が間違っており,事実は舌全体に味それぞれの味蕾が分布していることを身に持って体験できた。また,味蕾は舌のみにあると思っていたが,ビールや炭酸ののどごしの話しを聞いて喉頭や気道にも味蕾があることに納得し,味覚に対する間違った知識やイメージを払拭することができた。 
 別腹は脳が指令を出して胃のスペースを無理矢理開けており,人間とサルにしかないと学んだ。一般的に食後のデザートのときに起こるが,なぜ「甘味」なのか疑問を抱いた。本講義により甘味は人の舌の感度が低いことを学習したことから,甘味は他の基本味と比較して満腹状態でも受け入れられやすく,取り入れられる容量にも多少の空きがあるのではないかと考えた。実際は,満腹感は体内の恒常性によって制御されるが,甘いものに含まれるブドウ糖が神経を介して調節反射を刺激し,胃の圧力を下げ満腹感が低減されることが報告されている (Berstad, 2011) 。別腹だけでなく,講義で取り扱ったコアラやライオンの話しも踏まえて,このような動物特有の味覚で生活圏や生活状況が明らかになることに面白さを感じる。 
 加えて同じ人間でも,うま味は日本人が特に感じやすいことから人種でも味覚が異なり,さらには同じ人種でも人にとってのおいしさは「経験と学習」により異なると学んだ。そのときの身体状態,さらには情報によってもおいしさは変わる。特に情報や固定概念などの脳の処理によっては,おいしさは,いとも簡単に揺らいで変わってしまうのではないかと考える。この味覚の可変性は味覚修飾物質 (植物) によって肥満の改善,過食症や糖尿病患者の治療などの食習慣の見直しを必要とする病気の治療アプローチに貢献できる。 
 講義で配られたミネラルフルーツのタブレットは舐めることで舌全体に擦りつけることができた。また,ドライフルーツよりも持ち運びが良く,見た目も一般的な薬と変わらず気にならないため,子どもも大人も食べやすい。しかし,ギムネマは上記で述べた通り舌全体に行き渡らなかった。加えて,葉をかじることに抵抗がある人が多い。そこで可能であればミラクルフルーツのようにタブレットなどに加工することで実用に近づくのではないかと考える。加えて,味覚で脳を騙すためには,講義でも話しがあったように色や匂い,聴覚,テクスチャーのアプローチも重要である。

【参考文献】Berstad (2011). Dessertmage. Tidsskrifted, https://tidsskriftet.no/2011/12/kommentar/dessertmage (2024/05/10 閲覧)



Hさん 

 人は多かれ少なかれ必ず好き嫌いというモノがある。私自身、チョコレートや固形のチーズは食べられるが、嫌いな食べ物であるというだろう。ではなぜ嫌いなのかというと、私自身その理由付けをすることはできるが、明確な説明はできないだろう。チーズに関しては食感がきらいであうが、固形のチーズと似た食感をもつ食べ物は他にもあるはずである。それなのに食感が嫌いというのは筋が通らないかもしれない。ただ、私にとっては嫌いな食べ物である。そして今回の授業で習った好き嫌いのメカニズムを頭に入れながら記憶をたどってみると、私の小学生の頃の給食ででた固形のチーズが何かしらの原因で嫌いになったのではないかと思った。このように、私たちが日常思っている食べ物が嫌いな原因と、最初にその食べ物が嫌いになった原因というのは異なるのではないかと思った。この昔と今の食べ物の嫌いな理由の違いというのは何なのか研究してみたいと思った。
 今まで食に関する授業というのはいくつか受けてはきたが、味が変わるという経験は不思議な感覚であった。私が受けてきた食に関する授業というのは、小学生の頃に行ったトマトやお米の栽培体験や、中学生で行った蟹の実食体験など、食べ物本来に触れてその魅力や大切さを感じようとするアプローチだった印象がある。それに対して今回の授業は、味覚を変化させるという大胆なアプローチから行っていたのが大変興味深かった。味蕾をどのように変化させるのかの仕組みもさることながら、味覚について今の学説だと7つになっているというのだから驚きは計り知れないものがあった。今まで甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つ以外に考えられないだろうと思っていたために、カルシウム味、脂味もあるというのは本当に面白かった。
 ただ、福田・平川 (2006) の研究によると、大学生を対象に味覚感受性 (特にうま味) について研究したところ、甘味や塩味に関しては、正答率は高かったが,うま味にかんしては51%であったことから日本特有のうま味に対して感度が低いと言われている。これはうま味を見つけた日本人として考えなければいけない問題であると感じた。味覚というものは普段そんなに考えずにただ単においしいと思うだけではあるが、味を感じられているというのはそれ自体でうれしいことであるし、味覚の重要性を知ることによって、食に関する捉え方というのも変えられるのではないだろうか。
 また、ミラクルフルーツやギムネマなど味覚修飾植物に関しても、効果を薄めたり、今回試させていただいた錠剤にしたりすることで、今後患者さんなどの糖質制限などに関してこのような植物を使って満足感を出したりすることで、味覚的に我慢しなくてもよくなるのではないかという、そんな夢物語ができれば様々な人の救いの手となるのではないかと期待するところである。余談ではあるが、食事に対する飽きるという感情やおいしいという感情の測定に関して脳波を使用して考えることも多く、心理学の研究領域の幅広さを常々痛感するところである。味蕾で味を判別し、その判別したものが電気信号として脳に伝えられると言っても、脳のどの部分にどのような神経回路を通じて伝わるのかは研究が進められている。ただ、おいしいという感情は脳波だけでなく、顔などでも判別できるのではないかと思う。私自身おいしいものを食べれば自然と笑顔になるし、友人がおいしいものを食べていればその顔で判別できるものである。この顔の変化は甘味やうま味、苦味によって異なるのか、異なるとすればそれを感知するシステムを作ってなにか活用できないかということは研究してみたいテーマの一つである。先生のお話を聞いていると、カルシウム味、脂味が国際的な基準として基本味に加えられるのはまた時間がかかりそうではあるが、何としてでも先生がご健在である間に国際的に認知され、世間一般に認められるように祈るばかりである。

【参考文献】
福田ひとみ, & 平川智恵. (2006). 大学生の味覚感受性 (特にうま味) と食習慣について. 人間文化学部研究年報, 8, 99-108.



Tさん 

 講義の序盤で、味を感じる仕組みについて学んだ。「舌の凸凹している場所」が味の感知に重要であるということは知っていたが、食べたものが唾液と混じって水溶液になることが必須条件だったのは驚いた。よく考えてみれば当たり前のことかもしれないが、全般的に理科が苦手な自分には初めて知ったと同然のことであり、それだけでも自分の中で味の感知のメカニズムへの理解が大きく進んだと感じた。口に入れた酸味は、唾液と混じって水素イオンを生んだ時点で初めて「酸味」として認識されるのだと分かった。このことについてさらに興味を持ったのは、唾液の分泌が多い人はそうでない人と比べて味の感知が強いのではないかと疑問を持ったからだ。また、唾液が多い人は酸を感知しやすいという事実があるのならば、それによって酸の過剰摂取が抑制され、唾液が多い人は虫歯のリスクが少ないと言われるのではないかと自分なりに予想をしてみた。はじめに、唾液の分泌量は酸の感知の強弱と関連があるのかについて調べたところ、酸が唾液によって洗い流された後に初めて酸を感じるスイッチ(PKD1L3-PKD2L1チャネル)がオンになり、スイッチがオフになった時でも酸味の余韻が残るということが分かった。このチャネルの発見は、唾液によっても酸が感じられた後も、「唾液で酸を感じ、それを洗い流そうとした」経過をもつことでさらにまた酸味を感じてしまうという二段階構造があることを示している。このことから酸を唾液で薄めるという行為が強い酸味の感知に繋がるとも言及されている(生理学研究所)。唾液がより分泌されればより酸を感じるということは、ある程度酸の摂取を抑制することもできると考えられる。調べてみると、酸の感知の差と虫歯リスクについての文献は見当たらなかった。よって、唾液の分泌量の多さや少なさは酸味の感知に影響を及ぼすが、その感知が虫歯リスクを上下させるとは言えないということが分かった。 
 味覚修飾植物は今後、主に若者がターゲットとなる味覚障害の防止や、普段から健康的な食生活を意識させる味覚教育に役立つとされている。味覚修飾植物について知ることは味覚の仕組みについて知ることに繋がり、学んだ知識が日常生活や社会でどのように応用されているのか考えるきっかけにもなる。例を挙げると、糖尿病患者への食事、苦手な食べ物の克服、肥満予防や薬にコーティングする加工といった多様な使い道がある。 
  講義全体の感想としては、安直ではあるが第一に高度な内容だと感じた。大学生の今でこそ味とは何か、なぜ私たちはそれを感じることができるのかといった理屈をある程度理解して、人に説明できるような知識として自分の中に落とし込むことができる。しかし、私が小学生(おそらく高学年)の頃に学校で体験したミラクルフルーツの授業では味のメカニズムについてほとんど理解ができなかった。そのため、大学生になって心理学的な知識を学ぶようになってきたからこそ理解が追いつくような高度な授業であると感じた。

【参考文献】
生理学研究所 「酸っぱい!の不思議を解明―酸味と唾液の”舌”奇妙な関係―」, 2024年5月9日アクセス.
愛媛大学教育学部(2015). 「味覚修飾植物を用いた味覚教育の実践事例」『愛媛大学教育学部紀要』62巻, pp.103-111.



Jさん 

  講義を受けて一番に感じたのが,「味」という感覚の重要性についてである。私は,この講義を受けるまで味覚というのは五感の中でもあまり重要度はそれほど高くないと考えていた。しかし,動物の種類や同じ人間の中でも時期によって味蕾の数が大きく異なることを学んだ。そしてその理由として,それぞれの動物の基本となる行動に関連していることを知り,そこから「味」という感覚の重要性を感じた。また,味わうというのは味覚だけに頼っていたわけではないということも印象的であった。味わうときは五感を総動員するため,五感の内ひとつでも問題がある場合は,同じものでも味が変わってきてしまうのか疑問に思った。そしてそうであれば,同じものを同じ味として知覚している人は意外と多くないのではないかと考える。 
  味覚修飾植物に関しては全くと言っていいほど知識がなかったため,味を変えてしまう植物だとか,どのようにして味を変えているのかなど想像もつかなかった。しかし,味の感じ方や,味覚修飾植物がどのようにして知覚する味を変化させるロジックを分かりやすく説明していただけたため,人に簡単ではあるが説明できるほどにまで理解できた。また,講義で取り扱ったミラクルフルーツやギムネマの他にも,多くの味覚修飾植物がある可能性があることを知った。世界には,どのような味の変化をもたらす味覚修飾植物があるのか興味がある。味覚修飾植物には,様々な健康問題を解決することのできる可能性が秘められていると考える。糖尿病を対策するための,甘味を感じさせなくするギムネマの利用。また,ストロジンの利用によってジュースなどの甘い飲み物を飲みたい欲求を水で代替し満たせるかもしれない。また,ミラクルフルーツや他の味覚修飾植物で苦味を感じさせなくするものがあれば,それらの利用によって世の中の偏食が改善できる可能性がある。しかし,問題点として収穫できるようになるまでの時間が挙げられる。世の中に味覚修飾植物を普及させ,健康問題を改善するためにはミラクルフルーツだけでなく他の味覚修飾植物も大量に必要になってくるため,短期間に数多くの味覚修飾植物を手に入れる技術が必要となる。この問題点を解決できる時が来たら,糖尿病,肥満,偏食などの食に関する健康問題の解決に大きく貢献することになるのではないかと考える。 今回の講義を通して味に関しての知識が深まり,また,実際に味覚修飾植物を経験してみることによってその効果を実感することができた。味覚に関して深く考えたこともなかったこともあり,味の感じ方,味蕾の数,味覚修飾植物など,どれも興味深い話ばかりであった。今まで味わうことは当たり前のこととして生きてきたが,その当たり前のさらに深い部分を追究することによって新しい発見があったり,社会問題の解決に繋がる糸口が見つかったりするのだなと感じた。

【参考URL】「ミラクルフルーツ味覚修飾研究サイト」 2024年5月12日閲覧 https://www.taste-m.com/koushin00.htm



Kさん 

 今回の講義は説明もほどほどにすぐ味覚体験が始まったので,よく分からない半信半疑の状態でまずギムネマの葉をかじりました。しかし,その後食べたお砂糖やチョコレートに甘さが何も感じられなくなったのを体験し,その瞬間からこの現象について非常に興味が湧きましたし,同時にこれから講義でこの不思議な仕組みについて詳しい説明をお聞きき出来ることへのワクワク感がより高まりました。私はこれまで味を判別する「味蕾」について深く考えたことも学んだことも無く,それについての知識は全くありませんでした。
 なので、今回の講義内容は全てが新鮮でしたが,特に印象に残ったのは味の判別が電気信号であるということです。様々な形の穴が空いた図で非常に分かりやすく説明して頂きましたが,従来の教科書に載っていたとされる味覚地図のように舌の各部分によって感じる味が別れている訳ではなく,専用の鍵穴によって味が判別されているということがとても驚きでした。さらに味蕾は舌だけでなく喉や鼻にも広がっており,ビールの「のど越しの味」はしっかりと計算されて作られたものだというお話を聞いて,テレビでよく聞くその言葉の意味が非常に良く分かりました。
 また,私は人の味覚はなぜ酸味のあるモノや苦いモノを敏感に感じやすいのかということを以前から疑問に思っていたのですが,今回の講義の中で私たち人間の味覚はジャングルで生まれたと想定されて出来ているといったお話を聞いて,なるほどなと納得しました。酸味や苦みは腐敗物や毒物に多く見られる味だからこそ,摂取した際すぐに異変に気付けるように感度が高くなっているというのは,とても考えられた仕組みだなと感じました。さらにその仕組みを活用し,子ども用のおもちゃや人形に苦み成分が塗布されているというのも非常に面白い応用方法だなと感じました。
 今回紹介して頂いた味覚修飾植物について,私は日常生活においてもとても活用出来る幅が広く,様々な応用が出来るのではないかと考えました。島村先生も仰っていた様に,甘みの無いケーキでもミラクルフルーツを活用することで甘いと感じられる錯覚を起こせば,糖分を摂取せずに甘いものを食べたときの満足感を味わうことが出来ます。これは糖尿病患者の方にはもちろん,ダイエットのために糖分を控えたい方などにとっても画期的に作用するのではないかと感じました。味覚修飾植物の存在はまだまだ世間に知られておらず,その上日本での栽培や大量生産はまだ難しい点も沢山あるとは思います。しかし,人間の味覚の新たな発見や医療現場における有力なサポートのためにも,ミラクリンやネオクリンがこれから新しい甘味料として普及していくと良いなと思います。