今回の講義を聞き、味蕾の特徴や役割がわかった。 味蕾とは、味が判別される部分で味が電気刺激として脳に伝わり味が認識される。味蕾には甘味を感じるもの、苦味を感じるもの、塩味を感じるもの、酸味を感じるものといったそれぞれの役割があり、一つの味蕾に対して一つの役割がある。しかし辛味は体性感覚であり、神経を刺激し痛みとして脳に伝わるため、味蕾で伝わるわけではない。味蕾は舌だけでなく喉にも存在しており、大人の人間の味蕾の数は大体6000~9000個ある。味蕾は私たち人間以外も持っていて、味蕾の数はそれぞれ異なっている。例えば、牛は約25,000個、ウサギは約17,000個、ナマズは約200,000個と人間よりはるかに多いことがわかる。その理由として、牛やウサギは草食動物のため、草に含まれている毒物などを判断するために味蕾が多くなっている。ナマズは目がよくないため、食べ物を味蕾で判断しやすいように多くなっている。それに加え、ナマズの味蕾は体の表面にも味蕾がある。これは、水中に敵や物が入ってきたときに察知するためであることがわかった。このように、味蕾には味を感じるだけでなく、生命維持のためにも役立っていることを知った、味覚がなくなるということは生命を維持していく中でとても危険なことだと思い、味覚はとても大切なのだと感じた。
味覚の大切さは、味覚の体験からも感じた。今回の体験は、ギムネマとミラクルフルーツを使い味覚の変化を体験した。ギムネマとミラクルフルーツは味覚修飾物質と呼ばれる味受容体に働き、一時的に味覚を変える物質を含んでいる味覚修飾植物である。味覚修飾物質には、甘味阻害物質と甘味誘導物質がある。ギムネマは甘味阻害物質で、甘味を感じる味蕾をふさぐことで甘味を感じられなくする物質である。今回の体験では砂糖とチョコレートを使用した。ギムネマを舌全体にこすりつけるようにして噛んだ後、砂糖とチョコレートを食べると砂糖は味がしなくなり、チョコレートは苦みが際立っていた。ミラクルフルーツは甘味誘導物質で、すっぱいものを甘く感じさせるものである。今回の体験で実際にミラクルフルーツを食べ、その後にレモン果汁の入ったヨーグルトとグレープフルーツジュースを飲んだ結果、酸っぱさを全く感じなくなるわけではなかったが、普通より甘く感じられた。この体験から私が感じたことは、味覚の感じ方が違うと食べ物への印象も大きく変わるということだ。これは特にギムネマで感じた。
私は甘いものが好きなので、砂糖をそのまま食べても、甘くておいしいと感じていたが、ギムネマを食べてから砂糖を舐めると、甘みがなくなりただ味のない砂のようなものを食べているようで、あまりおいしいとは言えなかった。チョコレートも今回使用したものはミルクチョコレートなので本来甘いはずだが、甘さがなくなり、苦みが残った。普段甘くておいしいと感じるものが、甘みを感じられなくなるだけで不快感を覚えるのだなと思い、味覚は人が心地よく食事するうえで大切なことだと感じた。
私は、ミラクルフルーツの講義と体験を通してミラクルフルーツが糖尿病患者や、肥満の人に使用すれば、症状の緩和や予防などにも役立つのではないかと考える。これは、島村先生の講義や資料に取り上げられていたが、講義でこのことを聞き、確かにミラクルフルーツのような甘味誘導物質が糖尿病や肥満の予防などに役に立つなと思った。私が理学療法を学んでいく中で糖尿病や肥満は食生活の乱れが原因であることを学んだ。日々の食事で高カロリーなものや、糖分が高いものを食べている人にミラクルフルーツを食べてもらえば、酸っぱいものでも甘く感じるため、カロリーや糖分抑えた食事ができる。そうすることで糖尿病や肥満を予防できるのではないかと考える。さらに、糖尿病患者は過度に糖分をとることができないため、ミラクルフルーツを食べることで、甘くないものであっても甘いと感じ、幸福感を感じられるため、「甘いものを食べたいのに食べられない」という患者の負の感情をなくすことができると考える。このように、ミラクルフルーツなどの味覚修飾物質は、病気の面だけでなく、精神的な面でも患者や人を助けることができると思う。今後、もっと味覚修飾物質が多くの人に伝わり医療の現場で使われ、患者が少しでも楽な気持ちで病気と向き合えるといいなと感じた。
今回の講義で、味がわからなければ本当はおいしいはずなのに、おいしく感じられなく、気分も下がってしまう。このように味覚は人の感情にも大きくかかわるということを知り、味覚は人が生きていくうえで精神的にもとても大切なことだということを学んだ。味覚について知ることは人を気持ちの面でも支えることができる。特に医療従事者の人は患者のケアのためにも重要だと感じた。
【参考文献】
驚きの味覚体験~ミラクルフルーツとギムネマ~(植物を通じて味覚のしくみを理解する) 島村光治