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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2016/05/06に実施した中京大学 心理学部1年の皆さんのレポートです。

講演風景1 講演風景2



Aさん 

 こんなに甘くて美味しいチョコレートが、果たして本当に甘くなくなるのか。講義の最初にギムネマを噛みしめていたときは正直なところ半信半疑であった。しかし、チョコレートを口に含んだ瞬間の、あの何ともいえない舌の食感や重みは私の想像を超えるものであり、同時に忘れられないものになったのである。
 この講義では初めて知ることばかりであった。何よりも今まで気に留めることの無かった「味覚」について、深く意識することができた。
 まず今回、私は味蕾というものの存在を初めて知った。それぞれの動物の味蕾の数、ついている場所には、それぞれが生き残っていくための秘策が隠れているように感じられた。また、ナマズの持つ味蕾の20万個という破格の数には驚いたが、生きていく上で視界を奪われるというのはそれほどリスクを伴うものなのだと感じた。そして人間の赤ちゃんの1万二千個の味蕾は、理にかなった数であると思った。また、食べ物を味わうときに、舌からだけではなく口全体や鼻の方からも美味しさが伝わるのは、香りのせいだけではなく上顎や喉にもある味蕾のおかげなのだと分かり納得した。これからは味蕾があることを意識して味を楽しめることが嬉しい。
 私は辛いものを好んでよく食べるのだが、辛味が基本味でないことに驚いた。今まで美味しいと感じていたのは辛さと同時に伝わる味の方で、辛いものを食べたときの神経の刺激が病みつきになっていたのかもしれない。
 また他に驚いたのは、ライオンは肉食動物というだけあって草食動物の筋肉だけを求めて狩りをしていると思っていたが、そうでは無かったということである。草食動物が消化した栄養を必要としているというのは初めて知ったし、それ以上に感心したのは、満腹になったらそれ以上は食べようとしないことである。私たち人間、特に先進国に住んでいる人たちは、いつもお腹がいっぱいになってもまだ食べようとする傾向がある。好きなだけ食べたいものが食べられることは幸せで恵まれている証拠だともいえるだろう。だが、その裏側で環境が破壊されていると考えると、人間は自分たちのことしか考えていないように私は思える。そしてライオンは肉だけを食らう、怖い動物というイメージを今まで勝手に持っていたことを申し訳なく感じた。
 味覚というのは生物のとても基本的な感覚である。だからこそそれに着目することで、地球上の多様な生物の特徴が掴むことが出来たり、共生していく上でのヒントが得られたりする。これはとても重要であると考える。また味覚修飾植物であるミラクルフルーツは、甘いものを欲している糖尿病患者にとって、どれほどの救いになっているのか。よく考えなくともそれの重要性は感じられる。様々な味覚修飾植物のこれからの活用法の発展に期待し、私は今日も美味しい味が感じられることに感謝して、食事を摂ろうと思う。

■参考文献:舌の構造と味覚 http://health.goo.ne.jp/medical/body/jin038



Bさん 

 私は島村先生の講義を受けるまで、ミラクルフルーツやギムネマという植物を知りませんでした。そこで、実際に味覚体験をしてみて、これらの植物が、味覚を変えてしまうことにとても驚きました。私たちは、普段何気なく食べ物を口にして当たり前のように味を感じていますが、どのような仕組みで味を感じているのかは知りませんでした。
 私たちは味蕾という部分で味を感じています。味蕾は成人でおよそ6000〜9000個、ウサギで17000個、牛で24000個存在しています。人は、他の動物とは比べものにならない程、食文化を発達させているにも関わらず、味蕾の数が圧倒的に少ないことに驚きました。その理由として、他の動物は厳しい自然の中で生き延びていくために、栄養のあるものや毒のあるものを、見分けられなければいけないということが挙げられます。また、人は扁桃体という部分がとても発達しており、情報によって食べ物の価値を判断する能力が備わっているということも理由の1つです。ここで好き嫌いの話がありましたが、それに関連して、味覚障害についてとても興味を持ちました。そこで、味覚障害についてもう少し詳しく調べてみました。すると、近年、外食や加工食品の利用が大幅に増えたこと、自分の好きなものばかり食べる偏食傾向の人が増えていることが原因として考えられることが分かりました。さらに、味覚障害になると味が感じられないだけでなく、心の状態が不安定になったり、脳の機能が鈍くなったり、様々な悪影響を及ぼします。また、女性の場合、不妊や胎児の成長不良といったことも起こる可能性があります。そのため、子供の頃から、しっかりとした味覚形成を行うことが重要だと感じました。そのためには、母親が栄養バランスのとれた食事を作り、食品にどんな栄養があるのかを子供に教えてあげることが大切だと思います。また、最近は様々な理由から、家族がそれぞれ違う時間に食事をとる家庭が増えています。しかし、家族でコミュニケーションをとりながら、楽しく食事をする時間を設けることが必要だと思いました。
 味覚修飾植物は、糖尿病患者への適用など医療の現場でも活躍しています。そこで、糖尿病や味覚障害になるのを予防するために、子供達の味覚形成の手助けができたらいいと思いました。例えば、ギムネマを食べた後に、ケーキを食べると甘くないと知ることで、お菓子にはたくさんの糖分が含まれているということを体感できます。このように楽しく味覚について学ぶ機会をさらに増やし、子供達自身が食生活を見直すことが大切だと思いました。
 今回の講義は味覚についてだけでなく、自分自身の食生活を見直す良い機会となりました。ありがとうございました。
■引用文献:味覚障害とダイエット「知られざる国民病」の処方箋 冨田寛



Cさん 

 私はミラクルフルーツを使った糖尿病患者の生活習慣の改善という部分にとても興味を持った。私の祖父も糖尿病を患っていて甘いものを食べられないことをつらがる様子を見てきたため、これが実用化されれば食事制限のある病人が糖分を気にしないで楽しみながら食事を行えるだろうと感じた。
 今回の講義の中の、人の味覚には脳の影響が大きく、脳と体は強く関わりあっているのだということを改めて感じた。動物は、生きていく上で必要な栄養をおいしいと感じ、また体の仕組みを変えることで生存競争を生き抜いてきた。また、体に必要な分だけに摂取を制限するため、天敵が来た時も体が重くないため逃げやすいため無駄なものがなく合理的である。反対に現代の人は、食べることに文化・情報・環境など様々な要素が組み込まれ、心理面の影響を与えながら体全体で味を感じている。人の味覚の曖昧さは食事を通じて思い出に浸れたりコミュニケーションにつながったりと良い面もあるが、体に毒なもの・腐ったもの気づかない、食べすぎたり必要な栄養を含む食事を意識しないと取れないなどの問題も多くある。理性的に食べることに気を付けないと生きるためにしている食べる行為が糖尿病などの病気につながってしまう可能がある。人は脳が発達して多くの知識を手に入れることができるため、その脳を使って正しい知識を手に入れ理性的に味覚と付き合っていく必要があると感じた。
 また、これまで習ってきた食育についても考えさせられた。食育は栄養バランスの良い食事をとる必要性だけでなく、食を通じた文化・地域の理解と継承などを子供に学ばせる取り組みで、小・中学校などでもよくその重要性を聞いてきた。講義内にもでてきたが、9〜12歳で味覚が決まるため、奇食にならないためにも食育が重要な役目を持っている。しかし、その中では、野菜など体にいいものを沢山取る必要があり、甘いもの塩分の強いものなどは取りすぎると体に悪いという固い栄養面についてのイメージが強かった。今回の講義内で食べ物は味だけでなく五感や外部環境・食環境・生体内部環境も作用しておいしいと感じる、とあった。食育のなかでも「こしょく」という言葉があり、一人で孤独にたべる孤食や個人個人で違うものを食べる個食、同じものしか食べない固食などの問題があると言われている。特に孤食や個食は心理的な面・文化的な面でおいしさを感じる要因の一つである。子供の時からこのような「こしょく」をさせないためにも食卓の雰囲気やあり方もよく考えないといけない。また、子供は野菜が苦手な場合が多い。苦み・渋味・クセ・触感・ニオイなど様々な原因があるがそれ以上に「体にいいから食べなさい」という強制感や怒られることによる嫌な思い出も嫌いなものを克服できない一つの理由である。今回のような講義を通じて苦みやクセなどが美味しく感じるようになるには大人になり経験と知識が豊富になることが必要であることや食事に対していい思い出を作ることで好き嫌いを減らしていくことを学ぶ場が必要であると感じた。また、ミラクルフルーツやギムネマなどのような修飾植物を使った実験を行うことで味覚について興味をもってもらえるような食育もこれからは必要だと感じた。子供の味覚形成が重要で、奇食に走らないためにも様々な味の知識を子供が覚えられるような食事の場が大切だと感じた。



Dさん 

 草食動物は、毒草を食べてしまう危険性があるために味蕾を多く持ち、肉食動物は、食べられるものしか食べないために味蕾が少ないなど、動物によって味蕾の数が異なることに驚いた。特にナマズが体中に味蕾があり、味で敵から身を守っているということや、蝶々は手の味蕾で卵を産む葉に毒がないかを確かめていることなど、舌以外に味蕾を持つ生物を不思議に感じ、興味がわいたし、味覚に身を守るという役割があることが分かった。また、自分自身、日常生活の中で、CMや広告の商品を買うことがあるので、扁桃体で情報が上乗せされることにより味の感じ方が左右されていることも驚きであった。『生きていく上で役に立つものがおいしい』と感じる動物に比べて、栄養価のないものでもおいしいと感じる人間の味覚が面白いと感じた。
 ギムネマの実験では、甘味が消えるということで、甘いチョコレートは無味になるのではないかと予想していたが、今まで感じていなかったチョコレートが油っぽさに気付いた。自分が気付かないうちに、添加物や保存料など様々なものを摂取していることを実感した。同時に食感の悪さも際立ったように感じたので、味覚障害になると食事をする気も失せてしまうだろうと思った。ミラクルフルーツの実験では、酸っぱいものが苦手なので、飲むのを躊躇したが酸味が消えて飲みやすかったことに感動した。特にグレープフルーツジュースは非常に甘かったので、実際のグレープフルーツを食べたら、本来の味が少し残るのではないかと思い実験したくなった。また酸味の強さで味がどう変わるのかが気になったので、他の食べ物でも実験してみたいと思った。
 実験と講義を通して、人間の味覚の曖昧さと重要さに身をもって気付くことができた。おいしさを感じるのに、これまでは味覚だけが関係しているのだと思っていたが、触覚や視覚、聴覚など感覚を最大限に使っていることが分かった。普段、何気なく見ている飲食店の看板や広告、サービスなどに、おいしさを感じさせるような仕組みがあると分かり、味覚と心理学の奥深さを実感し、さらに興味がわいた。また、味覚修飾植物は糖尿病患者など、甘いものが食べられない人に食事を楽しむことを可能にさせることで、治療の意欲向上にもつながるのではないかと思った。実際に味覚実験をしてみて、自分の味覚が健康であるからこそ、味覚の重要さに気付くことができたと思うので、味覚障害を持たない人にも、健康面でファストフードなどに頼りすぎない生活への修正ツールとして有効活用できるのではないかと思った。味覚障害に限らず、高齢者に薬を飲みやすくさせたり、食の好き嫌いの原因である、第一印象の改善を可能にさせたり、味覚修飾植物には様々な可能性があると思った。講義を受けたことで、味覚の重要さが体感でき、応用して多くの分野での問題解決につながると思ったので、これから、味覚や心理学の知識を広げていきたいと思った。



Eさん 

 私はこの講義を受けてさらに味覚への関心が高まった。私の母は以前、軽い味覚障害になったことがあり、「甘いか辛いかわからない」と言っていたのを覚えている。私は味覚障害という病気になったことがないので感覚がわからなかったが、今回の講義でギムネマの実験をしてショックを受け、味覚障害についての意識が変わった。一生のうち食事にかける時間は約6年に相当すると聞いたことがある。味がわからない、周囲の人が感じる味と自分が感じる味が違うということは人間にとって大きなストレスとなるのではないか。
 また、「辛さ」が味覚ではないことに驚いた。カレーライスには辛口・甘口と種類があるくらいだし、私のように辛さを味覚だと思っている人は少なくないだろう。私が普段美味しいと思って食べていた辛い食べ物は「痛さ」だったのだと考えると衝撃だ。
 私は味覚修飾植物の存在を講義で初めて知った。ミラクルフルーツで酸っぱいものが甘く感じるというのは糖尿病患者にとって救いとなる。今まで我慢しなければいけなかった甘いスイーツやデザートもミラクルフルーツをつかえば糖分が少なくても酸味あれば甘く感じることができる。罪悪感もなくなり、糖分の取りすぎも防止することができ、精神的、身体的ともに有益である。また、医療薬には副作用が付きものだが、これらには副作用がないので、薬やサプリメントという感覚よりも味を変化させる「調味料」のような感覚で気軽に使うことができるのではないか。
 現状、ミラクルフルーツやギムネマの存在を知らない人はたくさんいるだろう。もっとたくさんの人に知ってもらい、もっと簡単に(薬局などで購入できるくらい)手に入るようになれば人々の味覚に対しての関心もさらに高まるだろうし、とても便利になる。
 高齢者の病気とされていた味覚障害が、現在若者にも増えているこの時代に、これらは重要な存在になるだろう。私の意見として、塩分が少なくても塩味を十分感じられる味覚修飾植物があればぜひ利用したい。私はしょっぱいものが好きでよく食べるので自分でも塩分をとりすぎている、と感じることがある。塩分の取りすぎは、様々な病気を引き起こす。
 味覚修飾植物はこれからの人類にとって欠かせない存在になる日は遠くないだろう。
 味覚修飾植物についての研究や開発が進み、教育分野でも盛んになることを期待している。



Fさん 

 今回の講義で分かったことは、味を感じる仕組みには味蕾が大きく関わっていることです。味は水に溶けない限り変わりません。そこで、口に入ってきた食べ物は、唾液とまじることにより水溶液になります。その水溶液が乳頭(葉状乳頭、茸状乳頭、有郭乳頭、糸状乳頭)に取り込まれ、味蕾で判別されます。味と味蕾の関係は鍵と鍵穴のような関係であり、そこで甘味、苦味、塩味、酸味、うま味が判断されます。
 味蕾は、人によって、もしくは年齢によって数が違います。赤ちゃんには約12000個ありますが、成人するころには約6000~9000個に減っています。これは赤ちゃんの免疫力が成人に比べて低いため、万が一毒のあるものを口に入れてしまった時に、たくさんの味蕾のおかげでそれを判別し、すぐに吐き出すことができるからです。ここで興味深いこととして、ソムリエやシェフといった味を追求するような職業の人でも、味蕾が多いわけではないということです。それらの職業の人達は、脳での処理能力を極めることによって味を追求しているのです。
 動物によっても味蕾の数や場所が違います。食べ物を丸のみする蛇は2〜3個しかありません。ナマズは濁った水の中でも敵や獲物を判断することができるように、皮膚に味蕾があり、数も200,000個と多いです。虫にも味蕾はあり、ハエは手に味蕾があり、毛穴から液体が出るため、手で食べられる物か、毒があり食べられない物かを判断できます。
 味蕾とは味覚に大きく関わるわけですが、人間以外の動物にとっての味覚は、生きていく上で役に立つものがおいしいということであり、栄養があるかないかも本能的に分かってしまうため、必要がなければ食べないということです。必ずしも必要があるとはいえない物を食べ、美味しさや、美味しさ以外の新しい発見を得られるのは、動物の中でも人間だけです。美味しいものを美味しい、不味いものを不味いと共感できるのも人間の特徴です。そういった意味では人間は恵まれた生き物だといえるかもしれないと思いました。
 人間にとってのおいしさの中でも不思議と思えたのが、情報が味覚の処理に影響を及ぼすということです。例えば、ラーメンを食べることになったとき、そのラーメンが評判のいい店で作られたと聞いたら美味しく感じるでしょう。逆に、掃除がされておらず汚い調理場で作られたと聞いたら、美味しくない、もしくは食べたくないと感じてしまうでしょう。また、食べ物の色で、イクラがもし青に着色されていたら食欲が失せてしまうでしょう。このように人間は、情報により味覚が変化したりすることがあります。これは、人間の脳の中の偏桃体が影響しているからです。偏桃体の働きを利用することにより、何か食品をより美味しくさせたり、美味しそうに見せたりなどができるため、マーケティングに利用することも可能だと思いました。
 味覚を変えるのに情報を添えることも有効ですが、味覚修飾物質を活用する方法もあることがわかりました。味覚修飾物質の代表的なものとして、ギムネマとミラクルフルーツが挙げられます。ギムネマは、ギムネマ酸の働きにより糖分の吸収を妨げ、甘味を感じなくさせます。ミラクルフルーツはミラクリンの働きにより、酸っぱい物を甘く感じさせます。これらを活用すれば、糖尿病の改善やダイエットに活用できると思いました。
 味覚の研究が進めば、将来的に食べ物の好き嫌いをなくし、栄養のある食事をとり、健康面を支えることにつながると思います。医療目的ももちろんですが、他にも料理の質の向上、生物学への味覚からのアプローチなど、多岐にわたる選択肢が生まれると思います。
 また、味覚の研究は心理学にも通じるものがあると思います。お店の店内の配色を赤色中心にすると、食欲増進につながるのは何故か?など、味覚からの派生で心理学への疑問につながることもあると思います。ギムネマとミラクルフルーツの実験を実際に行うことで、味覚修飾植物の働きや、すごさといったものを肌で実感することができました。私はその経験を友達や家族に紹介しようと考えました。紹介するためには説明できるようにならなければならないため、より味覚への理解を深めることができると思います。こうして少しずつでも味覚修飾植物が世間に知られるようになれば、いずれは研究がさらに進み、新たな発見があるかもしれません。



Gさん 

 先日は私たちのために講義を開いていただき、誠にありがとうございました。口内上部や、喉にも味蕾があるとは知りませんでした。最初の味覚実験で「甘さを感じなくなるというより、甘さ控え目になる」といった具合に感じたのは、まだ舌以外の味蕾が機能していたということなんですね。舌と比べたら、全体の三割しかないといった感じでしょうが、自分の目からすると「三割もあるのか!」と驚きました。野生時代の名残だと考えると、飲み込む寸前まで口に入れたものを警戒していたのですね。
 動物の味覚についての話も興味深かったです。人間以外の動物はどう感じているのか。草食動物の味蕾が多く、肉食動物の味蕾が少ないのは知っていました。草や野菜の味をよく味わって食べているのかと思えば……まあ、少し考えれば分かることでしたが。動物にとっての味覚は、味わうためというより毒味ですね。私たち人間が“味を楽しむ”という考えを持っているのは、かなり贅沢なことなのだと思いました。別腹を作る機能がある猿も同じく、贅沢な動物です。
 「猿に別腹を作る能力がある」というのは、今回の講義で最も大きかった驚きでした。猿がこんなにも人間に近かったなんて……。というより、人間の機能が猿の代から完成されていたということなのでしょうが。ご先祖様からの胃酸ですね。胃酸と遺産、うーむあんまり上手くないか。
 しかし、そんなルーツを持っていても、味覚障害を持っている方はそういった味が判らない。正直なところ、味覚障害があるなんてこと、考えもつかなかったです。視覚や聴覚の障害なら、小中学校で習いましたし、町中でもよく見かけます。見かけるというより、味覚や嗅覚に障害がある人に比べ、ハッキリと目で見て判る状態であることが多いのでしょうが。(杖を持っていたり、補聴器を付けていたり)現代社会に於いて毒を口にするなんてことはまずないので、周りの気遣いのなさや、不注意一瞬で場合によっては命に関わる視覚障害者や聴覚障害者に比べ、軽視されるのは仕方のないことかもしれません。でも、同じ人間なら、「楽しみも共有しよう」という意識が生まれて当然ですし、特に生きる源である食は、精神の安定のために、重要なことだと思います。