味な話
「味な話」と題して身近な味や食に関する情報を紹介します。
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第10話:なぜ、すいかに塩をかけると甘く感じるのか?(2010年12月12日掲載)
普通ならしょっぱくなるはずが、甘くなる。これは『味の対比作用』という法則によるものです。 これは、ある味のものに、逆の味のものを少し加えると、本来の味を引き立てるというものです。そのため、スイカに塩をかけると甘く感じるのです。
この原理を利用した食品は非常に多く、おしるこ、ケーキ、お饅頭など多岐に及びます。
小職が授業で使っているギムネマという植物の葉は、その後に食べたものの甘さを感じなくさせる葉っぱです。 味覚障害の疑似体験だけではなく、甘さを無くすと、おいしさがどれだけ激減するかわかると思います。
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第9話:焼肉屋チェーンの『やわらか加工』の意味とは?(2010年12月5日掲載)
『やわらか加工』とは赤身の安いお肉に剣山のような注射針で国産牛の脂肪(本来は捨てるところ)を注入しているのです。 そのため、霜降りみたいに見えます。味の成分としては霜降りと同じですから、まずいわけではないのですが、本物の霜降りと比べると食感などで当然劣ります。居酒屋チェーンなどでそのことをごまかして天然の霜降りみたいに記載したことがあって問題になった事例です。
他にも「成形肉=サイコロステーキ」というのもあり、骨についた肉を剥して脂肪分、食用接着剤を混ぜて固めたもので、某ステーキチェーンにてお客に中まで火を通すことを徹底させなかったこともあり、食中毒をおこしたこともあります。
1枚肉の場合、細菌はお肉の表面にしかつかないので、レアやミディアムでも問題ないのですが、成形肉の場合は、 接合されたときに細菌との接している箇所がお肉の中にも存在するため、完全に火を通す必要があるわけです。
どちらも資源の有効活用という観点ではいいと思うのですが、消費者への説明責任はあると思います。
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第8話:なぜ、たくあんを食べるとその後の食材の味が違って感じるのか?(2010年11月28日掲載)
たくあんの成分は口の中にとどまる時間が長いからです。 口の中にたくあんの成分が残った状態で別のものを食べると、後から食べた食材の味+たくあんの残りの味になります。そのため、味が変わったような錯覚になるのです。
ちなみに歯磨きをした後、食べ物の味が変わったように感じるのは、歯磨き粉の成分で味を感じる器官である 「味蕾(みらい)」が一時的に傷つくからです。
また、プリンにしょうゆでウニの味であったり、アボガドにしょうゆでトロの味であったりなど、成分の組み合わせで、 錯覚することもありますが、これは、科学的に解明されております。他にも『100種類くらい○+○=別の味』というものは知られております。
ですから、上記の現象はミラクルフルーツやギムネマなどの味覚修飾とは一切関係ありません。(味覚修飾とは舌にいたずらをして脳に違う味の電気信号が送られることですから。)『
○+○=別の味』の内容については九州大学教授の都甲潔先生の著書をご覧ください。
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第7話:高級ワインと安いワインの違いは?(2010年11月21日掲載)
実は安いワインは誰でも飲みやすいように薄めに仕上げています。 高級ワインはワイン農家の個性、醸造家の個性などが発揮されています。 そのため、よく言えば個性がある、悪く言うとくせがあるというわけです。
飲みなれている人はその個性が理解できている人であり、普段飲みなれていない人は 薄めの飲みやすいワインがおいしく感じられます。
ただし、情報によるものが大きいため、500円のワインでも10万円のワインといわれると なんとなくおいしく感じたりなど、結構あいまいだったりします。 ちなみに、毎年これからの時期に解禁になるボージョレヌーボーとは、収穫し、醸造したての ワインのことであり、じっくり熟成されていないため、おいしいわけではありません。
今年のボージョレヌーボーは単身者向けにハーフサイズを発売したり、容器をペットボトルにするなど斬新なアイデアが出ていますが、ペットボトルについては長期間の品質保持が難しい観点から、反対意見もあるようです。(輸送時には軽くてコスト削減にはつながると思いますが。)
余談ですが、ワインの適温は10度前後です。冷たすぎると味が分かりにくくなるからです。 はい、また、低温だと香りも出にくくなります。 欧米ではフレーバー(風味)と言いますが、日本人だとなじみが薄い言葉ですよね。
宇多田さんは"FLAVOR OF LOVE"という曲を出したのも、アメリカ育ちの文化かなと思います。
ワインとは関係ありませんが、アイスが溶けたものを食べると、甘すぎと思いますが、 冷たいアイスの状態で食べるとちょうどいいですよね。つまり、低温だと甘味が感じにくいことがこの実験で分かりますよね。
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第6話:味覚地図って間違い?(2010年11月14日掲載)
その通りです。間違いです。
味は舌全体、上あご、のどで感じています。 のど越しの味というのは例えではなく事実であり、のどの味蕾は二酸化炭素に反応しやすいので、ビールや炭酸などの味わいがおいしく感じるのです。
上あごの味蕾の話は、ご年配の方が上あごに入れ歯をしたら味が感じにくくなるということを聞いたことがあると思いますが、塞がれた分 味が感じにくくなりますので当然の現象です。
1902年にドイツのヘニングという学者が味覚地図を提唱したのですが、その際には舌の先が甘味を感じやすいといった表現だったのが、第2次大戦後、その部分でしか味が感じられないと拡大解釈されてしまったのです。
現在の教科書には間違いなので載っていませんが、参考書などは印刷を繰り返しているだけなので、 いまだに載っている場合もあります。 薬を飲むときに意識して飲んでも意味がないわけです。
大人向けの講義ではこの事実をお話しすると皆さん驚きます。よほどインパクトがあったんですよね。 ちなみに学校としてはあの図があった方が試験に出しやすいというメリットはあったようですが。
小職が講義を担当しているある大学では小職の講義を担当する前に、 担当教授が味覚地図の実験を学生全員に行います。やはりそのときにおかしいと感じているようです。
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第5話:なぜ、ペットボトルのお茶は長期保存できるか?(2010年11月7日掲載)
お茶は酸化しやすく痛みやすい飲み物です。 なぜ、ペットボトルのお茶が長期保存できるかといえば、ビタミンCが添加されているからです。 私たちの健康を気遣ってお茶のメーカーがそんな配慮をと思ったら大間違いです。 ビタミンCやビタミンEには抗酸化作用が大きいのです。つまり、お茶とこれらが一緒に存在した場合、 お茶が傷む前にビタミンCが先に酸化するため、ビタミンがなくなるまで、お茶が痛むのを防いでいるんですね。 そのため、ペットボトルのお茶を振ると泡が発生しますが、これはビタミンCが入っている証拠なんです。
原材料の欄にVC(ビタミンC)とかVE(ビタミンE)と書かれている場合もあります。 但し、開封したら速やかに飲む必要があります。 ちなみにビタミンCは摂り過ぎても水溶性なので、尿として排出されますので心配不要ですが、
ビタミンAやEは油溶性なので、取りすぎると排出されないので問題になることがあります。 サプリメントなどで気軽に摂取できるのですが、摂り過ぎについては、意外と知られていないのが現実です。
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第4話:なぜ、食べるラー油は売れるのか?(2010年10月31日掲載)
ここでまず、味覚としてどんな味がでてくるのかが重要なポイントになります。 1つはラー油の辛味、もう1つは油分です。 辛さは味ではありません。正確には「体性感覚」であり、「味覚」ではありません。
英語でHOTと言うようにやけどをしているのと同じ感覚です。(わさびのような揮発性の辛さはSHARPと言います。) 手に甘味成分を塗っても味はしませんが、辛いものを塗るとひりひりすることからも
味覚とは別物とわかると思います。 では、辛さを感じるとやけどをしたのと同じようなことですから、脳内から痛みを抑える 鎮痛物質がでます。この物質の出る量が多い人ほど辛いものが好きな人です。
もう1つの油分ですが、味ではありませんが、舌で感じると脳内で快感物質がでます。 そのため、とろや霜降りをおいしいと思うわけです。 ポテチがやめられないのも油分が大きく影響しています。 私たち人間の体は昔狩りをしていた頃の体が今の私たちの体に引き継がれています。 つまり、獲物を食べれない日があっても、飢え死にしないような体になっているのです。 裏を返すと飢えには強いものの、飽食に体がついていっていないということです。
余談ですが、ギザギザのポテトがありますが、見た目を刺激しているだけではなく、 ギザギザにすることでポテトの表面積を増やして油を多く取り込んでいるわけです。
このダブル脳内物質の働きで、食べるラー油にはまる人が多いのです。 ただ、毎日使い続けるのは油分の過剰摂取ですので、注意が必要です。
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第3話:すっぱいものを見るとなぜ唾液が出るのか?(2010年10月24日掲載)
梅干やレモンを見ただけで唾液が出てきますよね。 実は理由がちゃんとあるんです。 酸味食材には「酸」が含まれています。梅干やレモンでしたらクエン酸、
酢なら酢酸といった感じです。 これらの酸味成分には体にいいものもありますが、口の中では酸性ですから歯を溶かす ことになります。 そのため、歯を守るために酸味の食材を見ると、口の中の唾液を出す部分が反応し、
唾液が出てきて酸の濃度を下げるわけです。
唾液の役割は糖の分解という消化液としてだけではなく、口の中の殺菌効果や歯を守る効果など、さまざまな役割を果たしております。また、味を感じるための媒体(水溶液に溶けないと味は感じられません。)
としての役割がメインではありますが。
つまり、自分の歯を守るため、反射的に起こる動作なのです。
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第2話:野菜と果物の違いは?(2010年10月17日掲載)
農林水産省の規定をわかりやすく解説すると、草になるものは「野菜」で木になるものは「果物」となります。 つまり、スイカ、トマト、メロン、いちごは全て野菜に分類されます。
また、りんご、みかん、ミラクルフルーツ、アボガド、キウイなど全て木になるものですので、「果物」ということになります。 ただし、定義では上述の通りですが普段の生活では、デザート的要素が強いものが「果物」に認識されていることは言うまでもありません。
余談ですが、バナナは?といいますと、あれは草ですので、「野菜」になるのです。 木に見えますが、あれば葉っぱのより集めであり、1枚ずつ葉っぱを取り除いていくと何もなくなるんですね。
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第1話:カレーは1晩寝かせた方がおいしいって本当?(2010年10月12日掲載)
カレーは作った日より1番寝かせた方がおいしいって、聞いたことがあると思いますが、どうしてでしょうか。
実はお肉ではなく、じゃがいもが大きな役割を果たしております。 ジャガイモも表面が徐々にカレーに溶け込むことで、粘性が増し、口の中にカレーの味の成分が長くとどまるため、
風味が増したようにおいしく感じているのです。
ちなみに、カレーにはメークインが合っていて、男爵いもなどはコロッケなどに適しています。
余談ですが、じゃがいもは茎が肥大したもので、さつまいもは根が肥大したものを食べており、 両者共に植物的には違う部位を食べているということになります。
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