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■ Q&A


Q&A(味覚)

味覚についてのご質問とその回答です。
随時更新いたします。


1.味を感じる仕組みを教えてください。
昔、学校の授業で味覚地図を正しいと教わりましたが、間違いなのでしょうか? 
島村のコメント
私達が味を感じる部分は『味蕾(みらい)』といわれる組織で、顕微鏡で見ると花の蕾(つぼみ)のように見え、1個の大きさは0.05mm程度です。味蕾は舌と上あご(軟口蓋)、のどの奥(喉頭部分)に存在し、全部で9000個程度あるが、舌に7割、上あご、のどの奥で3割があります。
1個1個の味蕾は数十個の味細胞からなっていて、その細胞がだ液に溶けて水溶液になり、味蕾で味を判断し、電気信号として脳に伝えられます。この味蕾1つ1つがいろいろな味を判断しているかというとそうではなくて、味を感じる仕組みは鍵と鍵穴の関係に例えることができます。味の成分が鍵で、味蕾(舌)が鍵穴です。
味覚地図は間違いです。今まで味覚地図が正しいと習ってきた方は多いと思います。大人向けの一般講演では皆さん、味覚地図が間違いであると言うと非常に驚かれます。私が味覚の研究を始めた頃(1990年)に味覚地図が否定されました。これはミラクルフルーツを食べると分かることですが、味覚地図の甘いというところにだけ成分をこすれば酸っぱいものが甘くなるわけではなく、舌全体にこすって初めて甘く感じます。
参考までに、ビールを飲んだ時ののど越しのおいしさはのどの味蕾で感じ、入れ歯をすると上あごの味蕾がふさがれてしまうため、味が感じにくくなるわけです。

図:味覚地図(間違いですので覚えないで下さい。)



2.私は好き嫌いが多くて困っていますが、どうして好き嫌いが起こるのですか? 
  
島村のコメント
好き嫌いのメカニズムには3種類あり、好き嫌いがある方は嫌いな食べ物を思い出してください。
下記の3つのどれか1つ(若しくは2つくらい当てはまる方もいるかもしれません。)に当てはまると思います。
@第一印象:生れて初めて食べた時の食材の質が悪かったり、料理が下手だった場合。
A雰 囲 気 :食事をしているときに怒られた、いやな思い出があった場合。
B経   験 :ある食材を食べたら吐いてしまった、食中毒を起こした場合など。

『食事は楽しく食べましょう』とよく言われることだと思いますが、科学的に根拠のあることです。家族や友達との食事の時のコミュニケーションは大事です。『食』という字を分解するとこじつけかもしれませんが、『人』と『良』と分けることができます。即ち、食べることは人間にとって心(人間)を豊かにすることだと思います。その証拠に、食物に関するうらみは昔のことでも「あのときあれ食べたかったのに」など意外と覚えているものです。

ご父兄のみなさまへ
上記の事からも食事中に子どもさんを怒ることは止めて下さい。あくまでも楽しく食事をすることが大事です。また、食事前でも怒られた事を食事時間までひきずるといけません。子どもさんを怒るときは食事の後にしてください。


3.好き嫌いを直すにはどうしたらいいでしょうか? 
 
島村のコメント
まず、お断りですが、大人は好き嫌いを直すことは無理に近いです。
中学生くらいまでなら、下記の2つの条件を満たした場合のみ直す可能性が出てきます。
まず1つ目は嫌いという食材で本当においしいと言われているものを食べ、頭の中の認識を変えることです。例えば、豆腐が嫌いな人がいたならば、手作りでいい原料を用いていて、世間一般でおいしいといわれている豆腐を食べてもらい、頭の中の認識を変えることが大事です。もちろん1回ではだめです。何回か体験しなければ認識を変えることはできません。
もう1つは本人が好き嫌いを直そうと思っていることです。本人に好き嫌いを直す気がなければ、いくら回りの人がいいものを食べさせても無理です。
以上の2点を満たして初めて、好き嫌いを直すことができます。
嫌いになることは簡単でも、直すことは難しい。それが好き嫌いです。


4.味の種類と舌の感度の関係を教えてください。 
 
島村のコメント
紀元前、アリストテレスは味は7種類あって、甘味、塩味、酸味、苦味、渋味、辛味、えぐ味があると唱えていました。ちなみに、えぐ味とは竹の子を煮たときに発生するアクのような味です。
現在の研究では味は5種類であることがはっきりしています。下表を参照。
この5つの味の混じりあいで辛味、渋味、えぐ味を感じることができる。

基本味 代表的な物質 生物学的意義 舌の感度
甘味 ショ糖(砂糖) 糖のシグナル 低い
塩味 食塩 ミネラルのシグナル 低い
酸味 クエン酸(レモンの酸っぱさ) 腐敗物のシグナル 高い
苦味 キニーネ(ヨーロッパの白樺の皮に含まれている毒) 毒物のシグナル 高い
うま味 グルタミン酸ナトリウム(昆布、これを人工合成したも
のが味の素です。)
イノシン酸ナトリウム(鰹節)
グアニル酸ナトリウム(干ししいたけ)
タンパク質のシグナル 低い

甘味は糖、塩味はミネラル、うま味はタンパク質のシグナルとして私達の頭の中に生まれつき入っています。これらの物質は私達の体に必要なものですから、少しくらい食べただけでは舌が反応しないようにできています。逆に、酸味は腐敗物、苦味は毒のシグナルとして、これも生まれつき頭の中に入っているため、これらの味の食品を避ける傾向があります。もちろん酸っぱいものや苦いものの全てが腐敗物や毒ではありませんが、知識が少ない小さな子どもの場合には、特にこれらの食品を避ける傾向にあります。
私は人間の味覚は『経験と学習』と考えております。食品の栄養などを知ることで、酸っぱいはずの酢を料理に使ったり、苦いお茶を飲んだりすることができます。裏を返すと、人間の場合は学習(特に情報)に頼る傾向が強いため、例えば、雑誌等でおいしい店が載っていると、お腹をすいているのにもかかわらず、行列してまで食べようとします。もちろん他の動物では考えられないことです。そして、おいしいことを経験すると、その雑誌を信じ、次回掲載された店にも並ぶことでしょう。その繰り返しではないでしょうか。しかし、ここで注意して欲しいのは、雑誌を見て、そのメニューにどんな栄養が含まれているかどうかは考えません。その点を十分に注意する必要があると思います。



5.小さいときは苦手だったピーマンが大人になると食べることができるのはなぜですか?
 
島村のコメント
子どもは一般的にピーマンは苦手です。それは、4で述べたように苦いからです。苦いものは毒のシグナルとして、頭の中に入っているからです。
しかし、大人になるとほとんどの方がピーマンを食べることができるようになります。これは、ピーマンの栄養を知ったり、体にいい食材ということを理解するからです。


6.味覚異常について詳しく教えてください。
 
島村のコメント
味覚異常の症状としては、下記の6種類が挙げられますが、患者総数は@とAで約85%を占めます。
@味が薄くなった:味覚減退
A全く味がしない:味覚消失
B食べ物を口の中に入れなくても苦味や渋味を感じる:自発性異常味覚
C甘味のみ分からない:解離性味覚障害(ギムネマを食べるとこの症状を体験できます。)
Dしょうゆが苦く感じる(異味症)
E何を食べても嫌な味に感じる(悪味症)

味覚異常は基本的には味細胞(味蕾)か味覚神経の異常によって発生します。しかし、味覚神経異常の患者はほとんどいません。ほとんどが味細胞(味蕾)異常が原因です。
味蕾は1ヶ月に1回くらい新しいものに生まれ変わりますが、その際に亜鉛(Zn)【厳密にいうと亜鉛原子を内部に含む特殊な酵素】が必要とされます。体内に亜鉛が不足すると、その酵素が十分に作られないため、味細胞の再生がうまくいかなくなります。

味覚異常の原因は下記の通りですが、亜鉛不足の場合で患者総数の70%を占めます。ここでは、亜鉛不足のケースのみを紹介します。また、味覚異常の検査では、弱い電流を舌に流したときに金属性の味を感じる『電気味覚計』と味物質を付けた直径5mmのろ紙を舌に当てて味覚能力をみる『ろ紙ディスク法』を使います。これらは健康保険が適用可能です。診察の結果、味覚異常と判断されると亜鉛の錠剤が処方されますが、治るまでには新陳代謝の関係もあり1ヶ月から2ヶ月くらいかかります。
@食事性欠乏症(30%):食物からの亜鉛摂取が足りないケース
A薬の副作用(25%):飲んでいる薬が体内の亜鉛を取り込んで、味細胞の再生を阻害するケース
B疾患による亜鉛欠乏症(15%):糖尿病、胃腸の手術後や肝炎異常などのケース
最近若者の間で@による味覚異常が増加しているが、これは彼らの食生活を調査すると明らかな共通点があります。カップラーメン、ファストフード、コンビニ弁当。。。食べるなとは言いませんが、これらの食品ばかり毎日摂るような生活は亜鉛不足を招きます。なぜなら、これらの食品に亜鉛が入っていないだけではなく、それらに入っている添加物が体内の亜鉛と結びついて体外に排出する働きがあるからです。味覚異常のお話はバランスのとれた食生活をしている人は関係のない話です。

では、亜鉛を多く含む食品にはどんなものがあるかを下記に示します。ほとんどの食品は『日本食』という共通項に含むことができます。日本が長寿の国といわれていますが、その長寿の方達は下記の食品を多く摂っていることもはっきりしております。

可食部100gあたり亜鉛が50mg以上は
、10mg以上は、その他は3mg以上
飲み物:
抹茶緑茶玄米茶ココア、紅茶
魚介類:
かきかずのこ煮干し茹でたらばがにサザエ、魚卵
海藻類:
あまのり寒天あさくさのり、わかめ
豆  類:
きなこ、あずき、いんげん豆、納豆
種実類:
カシューナッツアーモンド煎りごまかぼちゃの種、ゆでた栗
穀  類:
、そば粉、玄米
肉  類:
豚レバー、牛肉、豚肉
乳  類:
パルメザンチーズ、プロセスチーズ
野菜類:パセリ、干ししいたけ

食生活は人間の人格形成にまでかかわる重要なことです。規則正しい食生活を心掛けて下さい。


7.若いときには肉類が、中年くらいになるとお魚が好きになるメカニズムを教えてください。 
島村のコメント
若いときには体を作る(成長させる)ために、肉類や濃い味付けを好みますが、中年くらいになると、成長しないため、栄養分は体を維持するだけで十分ですので、あっさりしたお魚を好む傾向があります。中年になると消費エネルギーが減少しますので、若いときみたいにお肉ばかりだべていると横に成長してしまいますのでご注意を。


8.最近キレる子や授業が聞けない子が急増しているようですが、味覚の観点から考えられることはありますか? 
 
島村のコメント
以前、題記の子ども達を調査した結果、ある共通点があることに気づきました。
しつけがなっていないのはもちろんですが、私に言わせれば、食生活がなっていないということです。彼らの食事について分析してみると、例えば、ポテトチップスが主食で、ペットボトル入りのジュースばかりの食事などが見受けられました。このような食生活を続けていると、糖分と脂肪分だけは摂りすぎですが、人間の理性を司るビタミン、ミネラルが全く摂れていません。そのため、がまんすることができずにキレてしまうようです。従って、彼らの食生活を改善することで、ある程度キレることを防ぐことができることが分かっています。